一人ひとりのお客様にオーダーメイドでものづくりを行っています。
その中でもISSダイニチの技術を進歩させ、お客様に貢献できた印象的な出来事を現場の声たっぷりにご紹介します。
私たちの技術を進歩させた
改善開発ストーリー
4つの出来事
STORY.01
CVTベルト 篇
φ0.02の穴あけを
大ヒット車のCVTベルトに!
導入先 | 自動車 |
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製品カテゴリ | 微細穴加工 |
開発前の背景と課題
大手自動車メーカー様(以後H社)よりφ0.02の穴あけの依頼が突如舞い込みました。
当時、オランダのメーカーが独占していたCVTベルトを、H社が自社生産するためのプロジェクトが始まっていました。CVTベルトは金属製の薄板の両端を溶接して帯状にする工法が取られています。しかし溶接時に発生するスパークの飛散による「ピンホール」が、ごく稀にベルト表面にあいてしまうことが判明したのです。
そのため、CVTベルトにピンホールでφ0.02~φ0.20の穴をわざとあけて、検査機で「不良と認識可能か」の検証実験が立ち上がりました。H社の開発担当者様は何カ月も日本中の穴あけ業者を行脚。しかし失敗続きで精も根も尽きかけていました。
解決方法
依頼当時、φ0.05は可能でしたが、φ0.02の穴加工は未経験。施工開始日に初めてφ0.02のドリルを目にすると、肉眼で刃先が確認できないほど超微細!H社の担当者様は「会社に顕微鏡を取りに行く!」と岐阜から栃木まで車で往復し、翌朝には全ての道具が揃っていました。 当社も「成功させなければ!」という強い意志が湧き、寝る間も惜しんで何度も加工にトライ。
3日後、ついにφ0.02の穴あけを成功させ、H社担当者様は万歳三唱!喜びを分かち合い、意気揚々と引き揚げていかれました。
導入してから・・・
今もなお後継モデルがリリースされる大ヒット車種の量産へ貢献。当社も「φ0.02の穴あけが可能!」と更なる技術を手に入れることができました。
「人の強い想い」が技術に変わり、幸福へとつながるショートストーリーです。
STORY.02
新型注射針 篇
宇宙まで行った
ダイニチ加工品!
導入先 | 宇宙事業 |
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製品カテゴリ | 複合細穴加工 |
開発前の背景と課題
2005年、建設業のお客様(以後T社)より「新型注射針」の試作検討依頼が来ました。背景は伏せられたまま3年間、モデルチェンジ依頼が繰り返され「注射針」とは思えない形状設計になっていきます。
そして明かされた用途はなんと「宇宙」へ持っていく注射針!若田光一さんのISS長期滞在ミッション(2009年)の実験器具だったのです。T社はそのプロジェクトのプラント一式を受注。しかし精密な実験器具が入っており困り果て当社へご依頼いただきました。
解決方法
用途判明後は、加工屋からの視点でより良い注射針ができるようアドバイス。最終的な製品は、SUS316にφ0.6穴を26㎜止まりで穴加工後、側面から4カ所φ0.4をφ0.6につなげる仕様になりました。
注射針なので軸径も細く簡単に穴をあけられませんが、当社の複合微細穴加工技術で製品化に成功。ブランク加工と穴加工をそれぞれ別業者に委託していては、簡単に設計変更ができず、このようなスピード感では実現できなかった製品でした。
導入してから・・・
2009年、無事に若田光一さんのシャトルに間に合い、実験完了。当社の複合微細穴加工技術が宇宙事業に貢献した、記念すべき物語です。
STORY.03
充填ノズル 篇
深穴技術で製品の一体化!
導入先 | 食品 |
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製品カテゴリ | ガンドリル加工 |
開発前の背景と課題
1990年代前半、当社は大手重工メーカー様(以後M社)から繊維関連の部品を受注しておりました。その際に相談されたのが「飲料水の充填ノズルの一体化」です。
ノズルはSUS製で外径が8㎜程度、全長が100㎜程度、φ5で貫通穴があります。しかし長い穴あけができないため「2部品」に分けて加工後、溶接にて一体化している製品でした。
ある日、飲料を充填している最中に溶接部が脱落し、瓶の中に混入。何万本という回収事故が起きたのです。M社の中では大問題となっていましたが、解決策がなく困っていた矢先の話でした。
解決方法
早速、ブランク加工、穴あけ加工に着手。しかし深穴が得意なガンドリルでの穴あけが全く成功せず、30分で10万円分の工具を折りました…。緻密な条件設定と刃先の形成が必要だったのです。それから3年という歳月、試作を繰り返し、ようやく試作品ができあがりました。
担当者様に持っていくと「まだやってたの!?」と驚かれる始末でしたが、M社では未だ問題解決されていなかったため、即時採用が決定。当時の売上の半分近くを占めるまでの爆発的受注へと繋がりました。脱落の心配もない上に、面粗度が向上したことによる清浄性の向上、一体部品化によるコストダウンという付加価値も生まれました。
導入してから・・・
今は充填方式が変わったため、受注は少なくなりましたが、メンテ部品としてご注文をいただきます。皆さんも一度は当社の作った充填ノズルを経た飲料を口にされているかもしれません。
「細長いために一体で加工することが難しい部品」の解決事例として、今も様々なお客様にご提案を続けています。
STORY.04
ゴムローラー金型 篇
複合プリンターのゴムローラー金型生産技術!
導入先 | OA機器 |
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製品カテゴリ | ガンドリル加工+ホーニング加工 |
開発前の背景と課題
2000年、大手樹脂部品メーカ様(以後S社)より、複合プリンターのゴムローラーの金型加工の依頼が来ました。
当時、S社の金型生産の流れは、材料及び旋削は自社加工工場、ガンドリル(下穴)を大阪に外注、ホーニング(仕上げ穴)を東京に外注されていました。概寸はφ30×350㎜、内径はφ14程度、1ロットが100本程度のものですが、歩留まり率が70%近いという効率の悪さ。
金型は、内径の仕上げ精度が最も重要です。しかし下穴を空ける業者と仕上げる業者でそれぞれ言い分があり、不良が発生している原因の特定が難しく、泣き寝入り状態でした。
解決方法
「ダイニチなら穴あけ(下穴)、ホーニング(仕上げ穴)両方できる」と一貫依頼され、金型の最重要箇所の加工である「穴あけと穴の仕上げ」を高い精度で達成。納入するのは良品のみとなりました。更に円筒度測定機による内径形状保証が標準付帯しているので、QCDすべてにおいてお客様にご満足いただくことができました。
導入してから・・・
お互いの会社の距離が近いことから、試作品から参画してスピーディーな商品開発化に尽力。やがて、S社で担当していた材料や旋盤加工もすべて当社で請け負うことになりました。
開発が早まったことで、東南アジアをはじめとする新興国への複合機の普及もハイペースで進み、結果的にアジアへの経済圏拡大に貢献しました!